これが、ラトビアのラーメンスタイルなのだ! 「Ramen Riga」

今回はラトビアのトップシェフが作ったRamen Rigaの経営者であるMartins Sirmais(以下マーティンス)さんにインタビューする機会を得ました。この記事で、素晴らしい経歴を持つマーティンスさんを知ると、リガに行った際には試してみたくなりますよ。

マーティンスさん(画像提供:3 pavāru restorāns)

マーティンスさんはいったい何者だ!
マーティンスさんがRamenRigaのお店を始めたのは2、3年前です。コロナ禍が始まる大体1年ほど前でした。マーティンスさんは16歳から調理のキャリアを積みました。彼を含めて3人で作った3 pavāru restorānsのオーナーシェフです。とても美しいコンテンポラリー北欧料理を提供するラトビアはリガの人気高級レストランです。
マーティンスさんの活動はこれには留まらず、ラトビア国営放送大人気番組「Kulta Ēdieni(カルト・フード)」に登場されています。彼自身が世界中をめぐり、材料、文化、歴史を経験する番組です。日本では寿司、メキシコではタコス、オーストリアではシュニッツェルについて調べ歩く旅をしました。上記のことから、マーティンスさんはラトビアでは知らない人はいない話題の有名シェフです。この番組について、ラトビア大使館でも説明されていますのでこちらをご覧ください。
この番組収録のために2週間日本に滞在した時の動画が下記にあります。

「Kulta Ēdieni(カルト・フード)」 日本のわさびについて

RamenRigaを始めた理由
ひとつめは、マーティンスさんの長年のシェフの経験と、人材、リソースがあると言うことです。ふたつめは、テレビ番組での日本収録で日本の文化、食べ物に触れたことです。そして、最大の理由はマーティンスさんはラーメンが好きです。また、ラーメンの値段は安く、どの世界のどの都市にもあります。そして、ラトビアの首都リガにはラーメンが美味しく食べられる場所がなかったということです。

RamenRigaのラーメン
マーティンスさんは「日本のラーメンのそれと違います。」と断言します。当然のことながら、ラトビア人のお財布と味覚に合うように、ラーメンの値段と味を設定していかねばならないのです。それが、RamenRigaのスタイルです。ラーメンの見た目、新鮮さ、アジアらしい香り、大きいことが3つが大切なポイントです。
「アジアらしい香り」とはなんでしょう?マーティンスさんは味噌、レモングラス、ライム果汁だと笑いながら教えてくれます。RamenRigaのラーメンは写真を見ると分かる通り、まるで「スープのサラダラーメン」といったところでしょうか。スープを口に入れた時、初めに甘さを感じ、その後酸味が出てくることをラトビアの人々は期待しています。タイ料理のスープ、トムヤムクンのような味をイメージしてください。
スープは、Legoのように組み立てています。ひとつは海藻とキノコなど、もうひとつはたくさんの豚骨などと味噌のスープです。そこにレモングラスを加えます。6から7種類のタンパク質を加えます。新鮮さを感じさせるために、煮込みすぎないことが大事です。麺は製麺機は購入し、普通の麺とグルテンフリー対応の麺を作っていました。

Ramen Rigaのラーメン(画像提供:3 pavāru restorāns)

コロナ禍の影響
RamenRigaのコロナ前の宅配の注文(Wolt)は全体のお客様の10-15%でしたが、 コロナの後は30-50%になりました。
コロナ禍のため宅配サービスをした場合は麺のコストが非常に高いため、売上の25%を宅配サービスの会社に支払う必要があります。宅配サービスの場合の利益は非常に少なくなりました。25%の宅配サービス費用をそのまま値段に反映しても、他店との競争はできませんので、材料に工夫を凝らしました。
麺は一杯のラーメンの材料の中で最も多くのコストを占めています。そこで乾燥麺を使うことにしました。お店では製麺機で作った麺を使うことにしました。RamenRigaとしては、宅配注文で召し上がっていただくことは本望ではないため、お店が忙しくなる時は宅配での注文を受け付けないように宅配受付システムをOFFにしていました。
油はほとんどゼロです。牛の骨などを長時間茹でて冷ましたら全ての油を取り除きます。また、麺の硬さはアルデンテを通り越し、少々柔らかくなるまで茹でた麺がラトビア人の好みです。

宅配サービスでの工夫
ラーメンの麺が配達では伸びてしまうので、配達の時にはひと工夫しています。麺とスープと具を分けて、2つのボウルでお客様の場所まで届けます。お客さんが自身でスープと具と麺を一緒にするということです。

ラーメンが宅配サービスの3番目の選択肢になる!
ラトビアでは、宅配サービスの筆頭はピザ。その次は寿司が並びます。寿司と言っても日本の寿司のそれではなく、カルフォルニアロールに代表される海外での「寿司」です。寿司ではありますが、外側に衣をつけて天ぷらのように揚げていたり、クリームチーズが入っているので、これら2つはラトビア人にとって、高カロリーのイメージです。第3番目の宅配サービスの選択肢として、ヘルシーな麺とスープのRamenRigaのメニューが支持されてきました。宅配サービスでラーメンというのは非常に新しいムーブメントです。
人々は今まで食べたことのないものを食べてみたいという欲求がありますので、宅配サービスでRamenRigaのラーメンを食べて、リアルのお店にも行ってみたいという気持ちになります。

Wolt社との記念撮影 (画像提供:Ramen Riga Instagramより)

ラトビア人のラーメンの食べ方
90%のお客さんが、箸を使って食べることができます。大体パスタを食べるように。くるくると箸に巻きつけて食べます。稀に麺をすすることができる人もいますが、日本人のように麺をすすることはほとんどの人ができません。ですから、ラーメンの隣にはお箸、スプーン、フォークを添えています。ラーメン鉢からそのまま口をつけてスープを飲む人は多くないためにスプーンを付けています。

ベルリンはヨーロッパのラーメンメッカ
マーティンスさんは、ドイツのベルリンがラーメンの中では一番の都市と言います。理由は、ベルリンには日本人コミュニティがあることと、ベルリンはまるでアメリカのニューヨークのように、さまざまな人々の文化が混ざっている場所であることです。美味しいラーメン店がいくつかありますが、Cocolo Ramenは特に美味しいラーメン店です。

ウクライナへの援助
ウクライナにいるシェフの友人が、はからずも現在兵士になっています。ウクライナ兵士たちのためにシチューを作る必要があるため、大きな鍋が必要なのです。我々は鍋の購入代金を稼ぐため、3月8日にRamenRigaではボルシチを1杯10ユーロで販売し、売上金を支援金に当てることにしました。RamenRigaの非常に早い行動力により、300杯以上販売され3,000ユーロ以上が集まりました。そしてすぐにウクライナ兵士のための大きな鍋となって活躍しています。
上記のような早い判断、行動を起こせる理由は、RamenRigaは4人が関わっているビジネスで、マーティンスさんを含む2人はプロのシェフで2人で他の2人はサポーターとして事業に加わっています。投資家もおらず、無借金経営なので自分達の判断で全て行動できるということが即断即決できる理由です。

ウクライナ兵への調理鍋のために提供したボルシチ
(画像提供:Ramen Riga Instagramより)

ライフスタイル
マーティンスさんは家族がおり、子供2人の父親です。子供たちの学校が休みの時には太陽のある暖かい場所にバケーションとリモートワークに行きます。食の探索の旅や出張に出ており、その土地でしか味わえない食べ物を探索する生活、「食」そのものがマーティンスさんの人生です。数週間前は、Dubai Expo 2020(ドバイ国際博覧会)を訪れましたが、会場の日本館は最高でした。


今後のビジネス
この春夏にはたくさんのアイディアがあり、プランもあります。が、ウクライナの戦争もありますので少し様子を見ています。早く状況がはっきり見えるようになることを望んでいます。

リガのマーケットで(画像提供:3 pavāru restorāns)
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