NEW Rustic 「新しい商品を作るために、新しい材料は要らない」

今回はNEW Rusticというアップサイクルバックを生産し販売しているKristi Toigerさん(以下クリスティさん)にインタビューする機会をいただきました。

クリスティさん(画像提供:NEW Rustic)

ビジネスのきっかけ
クリスティさんは、大学でスタイリストやデザインを学びました。そして、北欧の高級アパレル会社のマネージャーとして働いていました。良い品質のもとに作られていたのは確かですが、稀に発生する不良品は店に戻ります。そしてクリスティさんは考えました。不良品を本社に送り、本社から工場に送られ、「そのあとはこの服はどうなっていくのだろう?」と。
8年前、クリスティさんは子供が産まれ、彼らの未来に美しい自然を残していきたいと思うようになりました。クリスティさんの故郷のKarksi-Nuia(カルクシイ・ヌイア)で手織りのカーペットを注文しました。それは残り物の生地から作られていると知りました。そして、クリスティさんは誰かが「ごみ」と呼ぶ材料を使い、新しい何かを作る考え方がとても好きでした。新いバックを作るのに新しいものを使う必要がないという発想も大変興味を持ちました。そのことがきっかけで、クリスティさんはバックの大きさやデザインについてを考え始めたのです。約1年間環境支援ビジネスのアイディアを考え、2014年に起業しました。

デザインで大事にしていること
実際にクリスティさんは自分で試作品を作っては、使い、使いやすさを常に考えて開発しています。バックパックも現在は肩紐に加え、もう一本手で持つための紐があります、この紐は元々存在しませんでした。使っていくうちに何が便利かを考えてデザインに反映していきます。

すべて手作り
表地を作ってくれるのはカルクシイ・ヌイアにいる織物職人です。春や夏は畑仕事などで忙しい人々が、冬の間何もすることがないので、歯端切れを使ったカーペット作りをします。端切れを紐にする人が数人と、できた紐を織っている担当の男性が1人。そして織られた表地はタリンに運ばれクリスティさんともう1人の針子さんとで縫製をし、2人でカバンの形にします。ですから大きな工場などはなく、家庭内手工業でカバンができています。
肩紐やハンドル、ネームタグなどは牛の革を使っています。革はソファーなどの家具を作る際に出た残りの革を使っています。裏地はカーテンの端切れです。表も裏も主に綿の素材ですが、中にはポリエステルが混ざっていることもあります。ポリエステルは発色が良いので美しいピンクや薄いグレーの布を作る時に使われていることがあります。

販売のポリシーと目標
クリスティさんの販売目標は1日に1個売り1ヶ月で30個販売することです。大事にしていることは、ゆっくり良い商品を作ることです。そして長く大事にユーザーにも使ってもらいたいと思っています。
いつかカバンが古くなり、使えなくなっても、ユーザーがカバンを分解してマットにしたり、椅子の座面に敷いて再利用できます。そういう意味で、長く使える商品です。
現在は子供との時間を大事にするために、自身のリアル店舗では販売せず、オンラインショップだけの販売をしています。Etsyで販売し世界中の人が目にすることができるよう、目下準備中です。クリスティさんは食器、石けんなどライフスタイル全体の製品にも販売カテゴリを広げています。このほかアップサイクルの服、カテゴリを増やしてもっと大きなストーリーを持ったショップとして成長させたいと思っています。
クリスティさんには大きな夢はないですが、子供をだんだんと育てていくように、会社も少しずつ育てていきたいと思っています。食器を販売することは1年間ほどかかりましたが、その程度のゆっくりした速度でライフスタイルブランドとして広げたいと考えます。

石けん、食器など(画像提供 NEW Rustic)

普段の過ごし方
クリスティさん一家はアウトドアが好きなので、子供たちと海岸に短いハイキングや森の中をトレイルに行ったり、冬はスキーをします。森のそばに小さなコテージを建てたので、そこで過ごします。コテージの畑にはリンゴの木を植えましたが、ヘラ鹿、鳥やうさぎが食べてしまいました。タルトゥのおもちゃ博物館に週末に家族と行きました。クリスティさんが小さかった頃にあったおもちゃや、日本の古い人形が展示されていました。また、アートコレクターのEnn Kunila氏が所蔵している作品を鑑賞するため、タルトゥのエストニア国立博物館に訪れました(当該展示についてはこちら)。Enn Kunila氏ご本人が案内をしてくれたのです。昨年夏はElvaが美しい街だと発見しました。生まれ育った国ですが、何年経ってもエストニアには魅力的な場所があります。

コテージの冬(画像提供 NEW Rustic)

エストニア人の環境意識
クリスティさんは、エストニア人は普段から家の外にはヘラジカやさまざまな動物たちに会うことができるような自然に近いところで生活をしていると語ります。
Rimiというエストニアのどこでもあるスーパーでは品物を購入すると、ほどんどの商品は紙で梱包されています。しかし、肉や魚などにはプラスチックを使う場合があります。それは衛生的な面から人間に被害が出やすい場合に、プラスチックを使う必要があります。プラスチックを使うことに意味があることか、または意味がないことかに分けるべきで、ペットボトルで水を買うことは当たり前になっていますが、ペットボトルを一回だけ使って新しく作り直すことよりも、そのペットボトルを繰り返し使うことの方が良いのではないかとクリスティさんは考えます。また、高校生の教育では、リサイクルの会社を起業する活動も出てきました。若い頃から意識的に環境に関わることはとても良いことだと語ってくれました。

画像提供 NEW Rustic

NEW Rasticというブランドの名前
名前を決めるのはとても難しいことですが、NEWは新しい、Rasticは古いという意味で、古い商品を使って新しい商品を作り価値を見出すということからクリスティさんは名付けました。

環境について伝えたいこと
クリスティさんは、人間は自分の毎日の生活の中で自然を将来の人々のために残す必要があるという考え方を大事にすることが必要だと言います。定期的に環境について人と話をする必要があり、ナショナルジオグラフィックを鑑賞したり、World Cleanup Day(エストニア発祥のゴミ拾い運動)でゴミ拾いをして、子供に環境について話すことが大事だと思います。その子供たちが大きくなった時に、さまざまなところで話題になり環境が大事なことを認識できる人々が増えると思っています。

おすすめのエストニアの過ごし方
クリスティさんの勧めるエストニアの自然を満喫する方法は、太陽が昇る前の朝早くに草原へ行くこと。草原はエストニアの象徴です。
Viru raba というバス停近くで降りると良いです。夏でしたら水着を持って行けば湿地にある池で泳ぐこともできます。

New Rustic Webサイト (エストニア語、英語)
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