ラトビアから日本の仙台に家族で移住しているAliise英照Donnereさん(以下、アリーセさん)にお話を伺いました。
とにかく大学へ入ってから決めた専攻
ラトビアの大学は入学試験というものはなく、高校の成績によって大学に入学するか否かでした。ラトビア大学は国内ではトップの大学だったので、その大学へ入学したいという目標を持った高校生だったアリーセさんは、努力を実らせ高校の成績をトップで卒業することができました。
ラトビア大学に入学すると、アジア言語学の中に日本、中国、アラブ諸国の専門が選択できました。アリーセさんはその中でも特に日本に魅かれたので、日本を専門とすることにしました。
日本文学から仏教へ
文学に興味を持ち、特に平安時代の随筆に興味を持ちました。その後原爆文学、夏目漱石などの現代文学に移っていきました。原爆文学はご存知の通り、人々に多くの辛いことをもたらし、地獄に似たような背景についても多く語られることで、仏教と関連しています。夏目漱石の文学作品にも座禅や葬式のシーンがあります。ですから、宗教は古く昔のままのものだと思っている方もいるかもしれませんが、現代に則した宗教があるということがわかります。
地蔵は何者にでもなり得る
ラトビア大学の大学院修士を終了し、日本の文部省の奨学金で、東北大学に研究生として来日しました。東北大学では、修士2年、博士3年と研究をしました。
宗教を研究するに従い、アリーセさんは水子地蔵のような信仰の対象となっている地蔵とは違う、ただ存在している地蔵に着目して研究を始めました。アリーセさんの大学博士課程の卒論の研究内容は大きくは以下2点でした。
ひとつめは、最近建立された小さな地蔵について。ふたつめは、子供のお墓として祀られていた小さな地蔵がお寺に移されることがあり、どんな目的で使われているかということ。これらは門の前に並べたり、お寺の装飾という役割になります。葬式仏教としての存在から明るい存在に地蔵が変わるのです。
そして、地蔵のおもしろいところは、地蔵の外見は歳をとっているのか子供なのか、男性や女性など、どんな人物にも見る人によってなり得るのです。そんなアリーセさんの目標は研究している分野である仏教において、日本や世界で活躍することです。
英語がわからない学生を知るためにドイツ語を学ぶ
2018年に博士課程を修了し、現在は東北学院大学で英語の講義の教鞭を取りつつ、仏教の研究は継続し、宗教についての講演をすることもあります。
今年で大学で教えて4年目になりますが、アリーセさんは学生に文化と一緒に英語を教えたいと思っています。文化や宗教を英語を用いて、クロスカルチャーコミュニケーションとして教えていきたいと考えています。アイスランド、スウェーデンの記事を読むということはまさに、英語がわかるからこその情報取得ということになります。
アリーセさんは幼い頃から、たくさんの言語に触れる環境にいたため、ラトビア語、ロシア語、日本語、英語と4ヶ国語を普段から操ります。最近はドイツ語を学び始めました。ドイツ語を学ぶことで、英語がわからない学生の気持ちを肌から理解しようと考えます。
日本の東北地方は、ちょうど良いラトビア
東北の生活はラトビアに似ています。まるで「ちょうど良いラトビア」と言ったところでしょうか。
ラトビア人が考える理想的な気候とは、冬に雪が降ることと、夏は暑くないことです。これがちょうどアリーセさんが住む東北地方なのです。双方の地域において共通なのは、海に近くて自然がたくさんあることと、無口でソーシャルディスタンスが遠いことです。以前、大阪に調査に行った時は、人の距離が近すぎてびっくりしました。
食べ物もアリーセさんは牛タンが好きで、田舎に行くと、おばちゃんが作っている食堂に寄るのが特に好きです。娘は油麩丼がお気に入りです。
ラトビアっ子4つの楽しみ方
ラトビアには、2020年2月コロナのパンデミックの影響が出てくる直前に帰ったきりです。
アリーセさんがラトビアに帰国したら、何をしてラトビアを満喫するかという疑問に答えてくれました。
観光スポットだけ見るとその国の本当の姿は見えないです。現地の人たちが普段行くところをラトビアを訪れて欲しいとアリーセさんのおすすめを列挙します。
1.食べる!
LIDOに行ってラトビア料理を食べます。例えば「zirņi ar speķi(ベーコンと玉ねぎ、赤いえんどう豆を入れた食べ物)」、「maizes zupa(パンのスープ)」です。また、豚肉の燻製をパンに挟んで食べます。また、「kārumsのBiezpiena sieriņš」は日本にはないです。
2.市場に行く!
リガの中央市場は最も有名ですが、Vidzemes tirgus、Daugavpils tirgusなどのマーケットは地元の人たちが買う日常のものが売っています。そういったものを見ると、ラトビア人の生活がよりリアルにわかると思います。
3.自然に触れる!
ラトビアに行ったら森を必ず歩きます。キツネや鹿は見ますが、熊がラトビアにいるという話は聞いたことがないですが、ベラルーシの方にはいると聞きます。森を歩くなら、グリーンツーリズムのガイドがいるはずなので、ゲストハウスやホテルでガイドを紹介してもらうのが良いです。
4.Daugavpils(ダウガヴピルス)!
屋外でスケートができたり、子供の遊ぶスペースがあって、子供と一緒に行っても安心して遊べます。
5.自然に近いところに泊まる!
自然と近い場所に泊まるのもおすすめです。VIESUNAMIEMというサイトでは、ラトビアの自然に近い宿泊施設をたくさん探すことができます。
一部誤りがありましたので訂正いたしました(2022.06.01)