エストニア最高齢、25,000フォロワー 料理系YouTubeおじさん

今回は、エストニアの最高齢YouTuberとして現在エストニアで有名なArvo Kassinさん(以下アルヴォさん)にお話を伺いました。
現在77歳のアルヴォさんは、エストニア最高齢のYoutuberとしてエストニアのETV(エストニア公共放送運営/ERR)に特集取材されるなど、エストニアで話題のYouTuberです。アルヴォさんのYouTube登録者数は約4,400人、Facebookページ「Igast nurgast(いろんなこと)」は、なんと約20,600人がフォローしており、合計なんと約25,000人がフォローしています(2021年9月現在)。いったいどのような経緯で、エストニア最高齢YouTuberのアルヴォさんは誕生したのでしょうか。

Arvo Kassin(アルヴォ)さん

YouTuberへお返しをしたい

若きアルヴォ青年はミュージシャンでした。ソ連時代、軍人としてシベリアのクラスノヤルスクの音楽隊のオーケストラのギターとドラムを担当し、軍役終了後はステージバンドのドラマーとなりました。


しかし、家族ができたためアパートが必要になりました。当時ソ連では国の職業に就けば住居を与えられるシステムだったため、家やアパートを建設する仕事に従事しました。家族を養うため、23歳から70歳までずっと同じ仕事を続けていたのです。
退職間近の69歳のときに、「できるだけ健康に過ごしたい」と思うようになり、アルヴォさんは食の探求をすることになりました。外で買う食品の中には添加物がたくさん含まれている場合もありますが、自分で料理すれば、自身で選んだ安全な食材を使い、健康的な食べ物を口にすることができるはずです。自宅の34ヘクタールの庭には果実、じゃがいも、ビーツ、にんじん、かぼちゃ、羊を育てています。

自宅で育てたかぼちゃ(画像提供アルヴォさん)

アルヴォさんは、それまでほとんど料理をしたことがなかったため、食材をどのように調理したら良いかYouTubeを参考にして料理の知識を得ていきました。数多くのYouTubeから料理の方法や情報をもらっていましたが、YouTuberから「あなたの調理方法を教えて欲しい」とリクエストされたのです。
今までYouTuberから教えてもらったお返しに、人の役に立てたら良いと考え、アルヴォさんは8年前に料理のYouTube動画を公開することにしたのです。

77歳の成績優秀卒業生

料理のYouTubeを作るにしたがって、独学で身につけた調理の知識に不安がありました。2020年9月からハープサルにあるHaapsalu Kutsehariduskeskus(ハープサル職業専門学校)に1年間通学することに決めました。レストラン調理の仕事に就いている人だけが1年間のみの通学として認められるきまりですが、すでにアルヴォさんはYouTuberとしての充分な実績があったため、特別に1年間だけ通学することになりました。
週2回の通学を続け、2021年8月に「今年の学生(首席候補)」(9月末に決定する予定)として卒業しました。
学校では食べ物や料理の知識を身につけたので、たくさんの人の前に立って話すことに不安がなくなり、堂々とふるまえるようになったことが学んで良かった事です。そして、数日前にETVの取材が入り、放映が決まりました。

1人で450本の動画を編集公開

今までに、約450本の動画を作成、公開しており、視聴者はエストニア国内のみならず、カナダ、アメリカ、オーストラリアに住むエストニア人コミュニティが土日に集まって料理するために、アルヴォさんの動画を参考にしています。更にはウクライナ、ロシアでも視聴され、コラボで一緒に動画を作りたいという誘いもあります。
アルヴォさん一人で調理から撮影、編集、アップロードまでこなしているため、さまざまな苦労があります。音声なしで視聴したい人や耳の不自由な人のためにエストニア語の字幕を入力しているため、編集はおおよそ3時間かかります。

457本目の動画

アルヴォさんが作ったたくさんの料理は、6人家族の胃袋の中に入ります。ケーキは必ず2ホール作りますが、家族が1日で喜んで完食してくれます。愛情込めて作られた料理は口の中でとろけるようになると、アルヴォさんは言います。手作りの愛がこもった料理を食べるため、家族はみんな仲が良いのです。
また、エストニア料理のみならず、さまざまな国の料理に挑戦し、日本に住んでいるロシア人が作った「北海道のパン」を作ったことがあります。→「北海道のパン」動画はこちら

アルヴォおじさんの目指す先

大きな夢というわけではないですが、演奏した音楽とビデオをうまく組み合わせてもっと動画のレベルをアップしたいです。また、料理の世界は広いので、もっともっと勉強したいと思います。850ものチャンネルを視聴できる衛星TVチャンネルもあり、いつでも自宅で日々さまざまな国の伝統や人々の習慣を知ることができます。街や農場で特別にカフェを開いたり、料理をふるまうお店をやってみたいと思っています。

作った料理を楽しむアルヴォさん(画像提供アルヴォさん)

エストニアで旅行者に体験してほしい2つのこと

最後にアルヴォさんに、外国からの旅行者におすすめの過ごし方を聴いてみました。ぜひ、エストニアに行った時には参考になさってみてください。

上質なエストニア料理に出会って欲しい
タリンの旧市街にあるエストニア料理のお店に行って欲しいと思います。旧市街は多くのレストランが集まり、どこもレベルが高いので美味しい料理を見つけられます。
エストニアで有名な料理はverivorst(血のソーセージ)、 mulgikapsad(キャベツと大麦が入ったシチュー)、mulgipuder(麦のお粥)、soolaliha (塩漬けの肉)やsuitsuvorsti(燻製の肉)、rukkileib(ライ麦パン)です。


ありのままのエストニア見て欲しい
観光スポットよりも、エストニアの農場や、人々のありのままの生活を見て欲しいと思います。

アルヴォさんのYoutubeチャンネルはこちら
Facebookページ「Igast nurgast」はこちら

終始飾らないアルヴォさんの人柄と、YouTubeが儲かるから、有名になるからということではなく、「誰かのために役立てるかも」「なんでも自分1人でやってみる」という行為が、今後SNSで個人が発信していく大事な鍵になるだろうと感じました。
お話を伺い、まさに「素朴な」「どこにでもいる」ようなおじさん。視聴して癒される動画の需要もあるのではないかと思います。
「エストニア国内最高齢のYouTuber」で有名なアルヴォさんは、どの年齢から新しいことを始めても遅くはなく、自分の向上のために貪欲に生きることが、人生を豊かにするものだと改めて教えてもらいました。

2021年10月30日更新
コミックエッセイストの織田博子さん、世界のおじちゃん展でアルヴォさんとご家族を描いた作品がカフェポートブルックリン(駒込)で展示されると同時に、織田博子さんが制作販売されている2022年のカレンダーにも登場することになりました。11月3日から11月30日まで。詳しくはこちら

(提供:織田博子さん)